永年勤続表彰とは?表彰される年数や記念品・お祝いの相場を紹介

永年勤続表彰を導入している企業は多くあります。

しかし、制度の概要や記念品の相場などについては、あまり知らないという方もいるでしょう。

そこで本記事では、永年勤続表彰とはどのような制度なのか、導入するメリットとあわせて解説します。

永年勤続表彰とは長年勤めたことを表彰する制度

永年勤続表彰とは、長い期間ひとつの企業に勤め貢献してくれた社員に対してこれまでの功績や頑張りを称え、感謝の気持ちを伝えるものです。

かつて日本では高度経済成長期に多くの企業で終身雇用制度が定着していました。

そのため同じ企業で定年まで働く社員が多く、このような背景から永年勤続表彰制度が根付いたと言われています。

バブル崩壊とともに終身雇用制度も衰退しましたが、永年勤続表彰は廃止せずに存続させている企業も多くあります。

現在も永年勤続表彰を取り入れている企業が多いのは、何故なのでしょうか。以下、永年勤続表彰を導入するメリットを2つ紹介します。

1. 社員のモチベーションアップにつながる

企業側から感謝を伝えられ記念品や賞与を贈られることで、今後も会社に貢献していきたいという意欲を向上させ、社員のモチベーションを高めてくれるメリットがあります。

また、感謝の気持ちだけでなく記念品を贈り表彰をすることで、社員は「認められた」という気持ちになり自信を持つことにもつながります。

その結果、企業と社員の間に信頼関係が深まりやすくなることが考えられるでしょう。

2. 社員の早期離職防止につながる

終身雇用が当たり前だった時代と違い、現在はひとつの企業にこだわらず必要に応じて転職をすることが一般的になりました。

また、若手の離職率も増加傾向にあるため、企業は人材を確保しなければなりません。

長年頑張ってきた先輩社員や上司が表彰される姿を見て若手は「自分も頑張ろう」と刺激を受けます。

目指したい先輩や目標とする上司の存在は、若手社員にとっても大切です。このような理由から、入社して数年での早期離職を防ぐために永年勤続表彰を導入する企業は増えています。

永年勤続表彰の年数は10年ごとが多い

表彰は「○年に一度行うもの」と決まっているわけではなく、企業によって設定年数は異なります。

一般的に多く設定されているのは10年ごとです。

なかには5年という短い単位で行っている企業もありますが、10年、20年、30年で行うパターンが多いでしょう。2013年に高年齢者雇用安定法が改正されたことで定年が60歳から65歳まで引き上げることができるようになりました。

[注1]定年が60歳までだったときは、新卒入社の場合でも勤続年数は最長で38年でしたが、定年が65歳の場合は40年を超える可能性が出てきます。

そのため、現在は勤続年数40年の表彰を行う企業もあるようです。

永年勤続表彰の記念品相場は年数が長いほど高くなる

永年勤続表彰で贈られる記念品の相場はどのくらいなのでしょうか。先ほど表彰の勤続年数は10年ごとが多いと説明しましたが、通常勤続年数が長くなるほど相場は高くなります。2006年のデータになりますが、産労総合研究所から永年勤続表彰の記念品相場が公表されています。10年ごとに表にしてまとめてみました。[注2]

勤続年数 記念品相場額
10年 約3.6万円
20年 約7.5万円
30年 約13.2万円
40年 約11.1万円

 

企業によっては、記念品ではなくお金を贈るケースもありますが、その場合の金額も記念品相場とほぼ同じです。相場を参考にすることで、適切な金額の記念品や賞与を贈ることができるでしょう。なかには記念品と賞与を合わせて贈呈する企業もあるかもしれません。例えば勤続年数30年の相場は約13万円ですが、この場合は数万円程の記念品と、10万円程の賞与という組み合わせなどが考えられます。

永年勤続表彰におすすめな記念品を5つ紹介

表彰では記念品以外にも賞与や休暇を付与する場合もありますが、ここでは永年勤続表彰で贈る定番の記念品や実用的な品を全部で5つ紹介します。

1. トロフィー

トロフィーは永年勤続表彰の記念品として定番の品です。表彰の場にふさわしく、デスクや部屋に飾っておくことでいつでも目に入り、表彰の記念として思い出に残るでしょう。トロフィーにはいくつか種類がありますが、永年勤続表彰ではクリスタルトロフィーが人気です。透明感がある美しいクリスタルトロフィーは高級感があり、おしゃれなインテリアとしても見栄えがします。表彰者の名前や社名などを彫刻したオリジナルトロフィーであれば、なお喜ばれるのではないでしょうか。

2. 表彰楯

表彰楯はその名のとおり、表彰にぴったりの記念品です。楯でも人気のクリスタルをはじめ、木材や大理石などさまざまな素材のものがあります。大きさも数多くあるので、勤続年数に応じてサイズを選ぶこともできそうです。楯もオリジナルの文字を彫刻で入れられますので、社員への感謝の気持ちをメッセージにすることも可能です。ガラス彫刻楯なら文字を入れる範囲も広いため、重量感のあるクリスタル表彰状として贈ることもできるでしょう。また、なかには写真を入れるタイプのフォトフレーム楯や時計が埋め込まれている実用的な楯もあります。

3. メダル

メダルは実用性がないのではと思う人もいるかもしれませんが、最近はおしゃれなガラス製のメダルも普及しており、記念品としておすすめです。クリスタルメダルは、ガラスの表面を削るサンド加工で文字を彫刻するため、風格のあるスタイリッシュな見た目に仕上がります。金額も幅広く、リーズナブルなメダルは賞与と一緒に贈呈する記念品としても適しているでしょう。メダルのなかには金箔やプラチナ箔などでできた高級なものもありますので、勤続年数が長い社員への記念品としても良さそうです。メダルは場所を取らないけれど、記念になるという魅力もあります。

4. カタログギフト

カタログギフトも永年勤続表彰に贈る記念品として人気です。

お祝い品のイメージが強いので、表彰の記念品としてどうなのだろうかと迷う人もいるかもしれません。

しかし、カタログギフトは欲しい物を数多くの品のなかから社員が自分で選べるため喜ばれることが多く、永年勤続表彰の記念品に活用されることが増えています。

また、一般的に3千円から10万円程の幅があるので、勤続年数に応じて贈ることもできるでしょう。

5. 商品券や旅行券

商品券や旅行券も記念品アイテムとして選ばれることが増えてきました。商品券は使い道が自由に選べる点が人気で、実用性が高い特徴があります。金額も調整しやすく年代も選ばないため、喜んでくれる人も多いでしょう。

旅行券は、記念品の額がある程度大きくなるときにおすすめの品です。

旅行券を贈るときは、券とあわせてリフレッシュ休暇を付与するパターンもあります。休暇と合わせた記念品は、長年頑張ってきた社員を労う気持ちがこもった素敵な贈り物になるのではないでしょうか。

商品券と旅行券、どちらの場合においても有効期限がない券を贈ると使い勝手がよいでしょう。

永年勤続表彰の記念品は課税対象になる場合がある

実は永年勤続表彰として贈る記念品は、ものによって所得税がかかる場合があるので注意が必要です。

何年も恒例行事として行っている企業は周知のことだと思いますが、これから新たに永年勤続表彰制度を導入しようと考えている企業は課税対象について理解しておきましょう。

記念品が課税対象になるケースとならないケース別に分けて解説します。

課税対象になるケース

給与所得の対象は、「現金になるもの」が基本です。

そのため、当然賞与として支給した場合は課税されますし、商品券も対象となります。

現金や商品券は分かりやすいですが、例えば旅行券やカタログギフトなどはどうなるのでしょうか。

旅行券は換金性が高いため、実質現金を支給したものとして扱われます。詳しくは後述しますが、国税庁が定める要件を満たしている場合は非課税となる場合もあります。

また、カタログギフトも課税対象です。

国税庁によると、カタログギフトは「自由に選択できる永年勤続者表彰記念品」に当てはまり、会社から支給された現金で記念品を購入したものとして扱われるため課税対象となります。[注3]

永年勤続表彰で課税対象になる現金や商品券などの記念品は、所得税のみが課税されることを覚えておきましょう。

ただし、社会保険料は控除されないため、注意してください。

課税対象にならないケース

先ほど紹介したトロフィーやメダルのような記念品であれば非課税ですが、課税対象にならない条件は以下のように決められています。[注4]

  • 勤続年数や地位から記念品が一般的に相当な金額であること
  • 勤続年数が概ね10年以上であること
  • 同じ人を表彰するときは前回の表彰から概ね5年以上経過していること

 

上記を満たしていれば、永年勤続表彰で贈る記念品は課税対象外として扱われます。旅行券に関しては、以下の要件を満たしている場合に限り非課税となります。[注4]

  • 会社から旅行券が支給されてから1年以内に使用していること
  • 旅行券の額から相当な範囲の旅行であること
  • 旅行に行ったことが証明できる資料を会社に提出すること

 

他にも観劇の招待券は課税対象外なので、記念品として贈られることがありますが興味がない社員もいますので、非課税だからといって安易に選ぶことはおすすめできません。

永年勤続表彰では感謝の気持ちを伝えよう

永年勤続表彰とは10年、20年と長い期間会社に貢献してきた人の頑張りを称えるためのものです。

企業と社員がお互いより良い関係を築いたり、早期離職を防ぐためにも表彰は意味のあるものとして実施されています。

今回紹介した永年勤続表彰の相場や記念品例を参考にして、ぜひ社員のモチベーションアップにつながる贈り物を選んでください。

[注1]厚生労働省:高年齢者雇用安定法 改正の概要

[注2]産労総合研究所:永年勤続表彰制度に関する調査

[注3]国税庁:自由に選択できる永年勤続者表彰記念品

[注4]国税庁:No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき